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ネットワーク技術に関すること

X.509 証明書による IPsec 認証 (libreswan)

libreswan を使って、IPsec の X.509 証明書認証を検証する。

検証環境は前回記事と同様で、以下の図の通りである。

vpn1、vpn2、host1、host2、router1 OS は全て Ubuntu 18.04 である。

1. 証明書の用意

libreswan で証明書を扱う場合、NSS Tools の流儀に従って管理しなければならない。strongswan のようにファイルベースでの証明書管理はできないようなので、少し不便である。

vpn1 側の NSS Tools でオレオレ CA を作って、vpn1・vpn2 両方の証明書をここで作成することにする。あとでエクスポートして vpn2 へ持っていく。

1.1 初期化

最初に、NSS ライブラリの証明書ストアを両サーバで初期化する。Ubuntu の場合は標準のパスが /var/lib/ipsec/nss になっている。

user@vpn1:~$ sudo rm -f /var/lib/ipsec/nss/*.db
user@vpn1:~$ sudo ipsec initnss
user@vpn2:~$ sudo rm -f /var/lib/ipsec/nss/*.db
user@vpn2:~$ sudo ipsec initnss

1.2 CA鍵・証明書の作成

次に、vpn1 上で CA 鍵と証明書のセットを作成する。以下のように certutil コマンドを使用する。

user@vpn1:~$ sudo certutil -S -k rsa -n ca -s "CN=ca.example.com" -v 120 -t "CT,C,C" -x -d sql:/var/lib/ipsec/nss

A random seed must be generated that will be used in the
creation of your key. One of the easiest ways to create a
random seed is to use the timing of keystrokes on a keyboard.


To begin, type keys on the keyboard until this progress meter
is full. DO NOT USE THE AUTOREPEAT FUNCTION ON YOUR KEYBOARD!


Continue typing until the progress meter is full:

|***************************************************************|

Finished. Press enter to continue:

Generating key. This may take a few moments…

途中で、乱数の種としてキーボードからの入力を求められるので、適当にランダム入力する。

コマンドラインオプションについては、それぞれ以下のような意味がある。
-S は鍵・証明書の生成とデータベース登録を指示する。
-k は鍵のタイプを指定する。ここでは RSA を使う。
-n は、この鍵/証明書の NSS ストア内でのニックネームを指定する。
-s は、CA の CN (コモンネーム) を指定する。適当に決めてよい。
-v は、証明書の有効期限を指定する。(単位: 月)
-t "CT,C,C" は、証明書の信頼属性を指定する。
3つのフィールドの最初は SSL、2番目はメール、3番目はオブジェクト署名の用途を表す。
C は CA、T はクライアント認証証明書発行のための CA を表す。
IPsec の認証以外にこの CA を使うことがなければ、C,, だけでも良い。
-x は、自己署名証明書にすることを指定する。
-d sql:/var/lib/ipsec/nss は、証明書ストアのパスを表す。sql: を付けておかないと libreswan から利用できないので注意。

1.3 ホスト鍵・証明書の作成

次に、vpn1 のホスト鍵/証明書セットを作る。途中でキーボードからの入力を求められるのは先ほどと同様である。
user@vpn1:~$ sudo certutil -S -k rsa -c ca -n vpn1 -s "CN=vpn1.example.com" -v 60 -t "u,u,u" -d sql:/var/lib/ipsec/nss

コマンドラインオプションについては以下の通り。
-c で、先ほど作成した CA 鍵 (ニックネームが “ca”) での署名を指定する。
-n は、この鍵/証明書の NSS ストア内でのニックネームを指定する。あとでこれを利用する。
-s は、証明書の CN (コモンネーム) を指定する。ここでは vpn1 の FQDN にしておく。
-t "u,u,u" は、証明書の信頼属性を指定する。u はユーザ証明書を表す。

さらに、同じ作り方で vpn2 用の鍵・証明書を作る。同様に、ランダムキー入力が求められる。
user@vpn1:~$ sudo certutil -S -k rsa -c ca -n vpn2 -s "CN=vpn2.example.com" -v 60 -t "u,u,u" -d sql:/var/lib/ipsec/nss

ここまでで CA と vpn1 と vpn2 の 3セットの鍵・証明書が作成できた。

1.4 vpn2 用の鍵と証明書をエクスポート・インポート

vpn2 の鍵・証明書と、CA 証明書をファイルへエクスポートして、vpn2 へ持っていく。鍵を含むファイルは PEM 形式でエクスポートする方法が無いので、PKCS#12 形式でエクスポートする。
user@vpn1:~$ sudo certutil -L -n ca -a -d sql:/var/lib/ipsec/nss > ca.pem
user@vpn1:~$ sudo pk12util -n vpn2 -o vpn2.p12 -d sql:/var/lib/ipsec/nss
Enter password for PKCS12 file: password (適当に決めた PKCS#12 ファイル用パスワード)
Re-enter password: password (再度入力)
pk12util: PKCS12 EXPORT SUCCESSFUL
user@vpn1:~$ sudo chown user vpn2.p12

エクスポートしたファイルを vpn2 へネットワークコピーする。
user@vpn1:~$ scp ca.pem vpn2.p12 vpn2:
user@vpn1:~$ rm ca.pem vpn2.p12

vpn2 側でインポートする。
user@vpn2:~$ sudo certutil -A -a -i ca.pem -n ca -t 'CT,,' -d sql:/var/lib/ipsec/nss
user@vpn2:~$ sudo pk12util -i vpn2.p12 -d sql:/var/lib/ipsec/nss
Enter password for PKCS12 file: password (先ほど決めたパスワード)
pk12util: PKCS12 IMPORT SUCCESSFUL
user@vpn2:~$ rm ca.pem vpn2.p12

2. libreswan の設定

2.1 vpn1 側

vpn1 の libreswan 設定を編集する。

user@vpn1:~$ sudo vi /etc/ipsec.d/linux-to-linux.conf

conn linux-to-linux
	authby=rsasig
	auto=add
	dpdaction=clear
	leftcert=vpn1
	leftid="CN=vpn1.example.com"
	left=198.51.100.100
	leftsubnet=10.0.1.0/24
	rightid="CN=vpn2.example.com"
	right=203.0.113.100
	rightsubnet=10.0.2.0/24

leftcert に vpn1 を指定する。これは vpn1 証明書を作成した時のニックネームを指定している。

leftid、rightid は、それぞれの端点の Peer ID である。証明書の CN フィールドをダブルクォーテーションで囲って指定する。

2.2 vpn2 側

vpn2 の方も同様に設定する。

user@vpn2:~$ sudo vi /etc/ipsec.d/linux-to-linux.conf

conn linux-to-linux
	authby=rsasig
	auto=start
	dpdaction=restart
	leftcert=vpn2
	leftid="CN=vpn2.example.com"
	left=203.0.113.100
	leftsubnet=10.0.2.0/24
	rightid="CN=vpn1.example.com"
	right=198.51.100.100
	rightsubnet=10.0.1.0/24

2.3 再起動

デーモンを再起動する。
user@vpn1:~$ sudo systemctl restart ipsec
user@vpn2:~$ sudo systemctl restart ipsec

2.4 確認

接続状態を確認する。

user@vpn1:~$ sudo ip xfrm state
src 203.0.113.100 dst 198.51.100.100
        proto esp spi 0xc8f7a785 reqid 16389 mode tunnel
        replay-window 32 flag af-unspec
        auth-trunc hmac(sha1) 0xed85061c48c4fbc2dcce034191fb5a5a7c12d9e3 96
        enc cbc(aes) 0x7e39a613f56f3cb06b022561c0a8e65b
        anti-replay context: seq 0x0, oseq 0x0, bitmap 0x00000000
src 198.51.100.100 dst 203.0.113.100
        proto esp spi 0x90027aeb reqid 16389 mode tunnel
        replay-window 32 flag af-unspec
        auth-trunc hmac(sha1) 0xf3fa1c2609590b83e4c9c95b1ad38d80492f267a 96
        enc cbc(aes) 0x9e039bf741f7a4c7a9e1920d241fae65
        anti-replay context: seq 0x0, oseq 0x0, bitmap 0x00000000

参考:
HOWTO: Using NSS with libreswan
certutilによる証明書管理 [Fedora14]

Linux サーバ間 IPsec 接続 (libreswan)

Linux サーバ同士の間で libreswan を使って IPsec を接続してみる。strongswan を使ったやり方は別記事にて。

I. 前提

環境は以下の通り。

vpn1、vpn2、host1、host2、router1 OSは全てUbuntu 18.04である。

vpn1←→vpn2の間で、libreswanでトンネルモードIPsec接続をする。10.0.1.0/24 から 10.0.2.0/24 へのパケット、またその逆方向のパケットはトンネルへ入るようにする。つまり、例えばhost1からhost2へpingを打つとトンネルを通ることになる。10.0.1.0/24や10.0.2.0/24へのスタティックルートはrouter1に追加しないようにしておくので、VPNトンネルが出来なければhost1からhost2へのpingは到達できない。

vpn2側に自動接続開始の設定を入れることで、VPNトンネルを自動的に張ることにする。

II. 設定

以下、設定を記述する(IPアドレス設定など基本的なところは省略)

1. router1 の設定:

通過パケットを転送できるように、カーネルパラメータを変更する。
user@router1:~$ sudo vi /etc/sysctl.conf

net.ipv4.ip_forward=1  #28行目のコメントを外す

上記カーネルパラメータを有効化する。
user@router1:~$ sudo sysctl -p /etc/sysctl.conf

2. vpn1の設定:

libreswan をインストールする。このネットワーク構成ではインターネットからの apt install 不可なので、インターネット接続可能なネットワークに一時的に接続しておく。
user@vpn1:~$ sudo apt install libreswan

インストールが終わったら、ネットワーク構成を検証用の構成に戻す。以下のように netplan 設定ファイルを編集する。
user@vpn1:~$ vi /etc/netplan/50-cloud-init.yaml

network:
    version: 2
    ethernets:
        ens160:
            addresses: [198.51.100.100/24]
            gateway4: 198.51.100.1
        ens192:
            addresses: [10.0.1.1/24]

編集したら適用する。
user@vpn1:~$ sudo netplan apply

カーネルパラメータを設定する。
user@vpn1:~$ sudo vi /etc/sysctl.conf

net.ipv4.ip_forward=1  #28行目のコメントを外す

上記カーネルパラメータを有効化する。
user@vpn1:~$ sudo sysctl -p /etc/sysctl.conf

IPsecの事前共有鍵を設定する。
user@vpn1:~$ sudo vi /etc/ipsec.d/linux-to-linux.secrets

: PSK "mypresharedkey"

一般ユーザで読めないようパーミッションを変えておく。
user@vpn1:~$ sudo chmod 600 /etc/ipsec.d/linux-to-linux.secrets

IPsecの接続設定を記述する。
user@vpn1:~$ sudo vi /etc/ipsec.d/linux-to-linux.conf

conn linux-to-linux
        authby=secret		# 共有鍵認証とする
        auto=add		# こちら側からはVPN接続を自動開始しない
        dpdaction=clear
        left=198.51.100.100	# 自ホストのIPアドレス
        leftsubnet=10.0.1.0/24	# 自分側のプライベートネットワーク
        right=203.0.113.100	# 対向側ホストのIPアドレス
        rightsubnet=10.0.2.0/24	# 対向側のプライベートネットワーク

デーモンを起動する。
user@vpn1:~$ sudo systemctl enable ipsec
user@vpn1:~$ sudo systemctl start ipsec

3. vpn2 の設定:

vpn1 と同様に、libreswan をインストールする。検証構成ではインターネットからの apt install 不可なのも vpn1 と同様である。一時的にインターネット接続可能なネットワークに接続しておく。
user@vpn2:~$ sudo apt install libreswan

インストールが終わったら、ネットワーク構成を検証用の構成に戻す。
user@vpn2:~$ vi /etc/netplan/50-cloud-init.yaml

network:
    version: 2
    ethernets:
        ens160:
            addresses: [203.0.113.100/24]
            gateway4: 203.0.113.1
        ens192:
            addresses: [10.0.2.1/24]

編集したら適用する。
user@vpn2:~$ sudo netplan apply

カーネルパラメータを設定する。
user@vpn2:~$ sudo vi /etc/sysctl.conf

net.ipv4.ip_forward=1  #28行目のコメントを外す

上記カーネルパラメータを有効化する。
user@vpn2:~$ sudo sysctl -p /etc/sysctl.conf

IPsec 事前共有鍵を設定する。
user@vpn2:~$ sudo vi /etc/ipsec.d/linux-to-linux.secrets

: PSK "mypresharedkey"

一般ユーザで読めないようパーミッションを変えておく。
user@vpn2:~$ sudo chmod 600 /etc/ipsec.d/linux-to-linux.secrets

IPsec の設定を記述する。right/left を vpn1 側とは入れ換える。
user@vpn2:~$ sudo vi /etc/ipsec.d/linux-to-linux.conf

conn linux-to-linux
        authby=secret
        auto=start		# こちら側から VPN 接続を自動開始する
        dpdaction=restart
        left=203.0.113.100
        leftsubnet=10.0.2.0/24
        right=198.51.100.100
        rightsubnet=10.0.1.0/24

デーモンを起動する。
user@vpn2:~$ sudo systemctl enable ipsec
user@vpn2:~$ sudo systemctl start ipsec

これで完成。

III. 確認

ipsec status コマンドで、接続状況を確認できる。

user@vpn1:~$ sudo ipsec status
(snip)
000 #3: "linux-to-linux":500 STATE_MAIN_R3 (sent MR3, ISAKMP SA established); EVENT_SA_REPLACE in 3326s; newest ISAKMP; lastdpd=-1s(seq in:0 out:0); idle; import:not set
000 #4: "linux-to-linux":500 STATE_QUICK_R2 (IPsec SA established); EVENT_SA_REPLACE in 28526s; newest IPSEC; eroute owner; isakmp#3; idle; import:not set
000 #4: "linux-to-linux" esp.a61da06f@203.0.113.100 esp.53ec235d@198.51.100.100 ref=0 refhim=0 Traffic: ESPin=0B ESPout=0B! ESPmax=4194303B

router1 で tcpdump を仕掛けておき、host1 から host2 あてに ping を打ってみる。
user@host1:~$ ping 10.0.2.100
user@router1:~$ sudo tcpdump -n -i ens192 not tcp port 22
15:27:34.103230 IP 198.51.100.100 > 203.0.113.100: ESP(spi=0xa61da06f,seq=0x1), length 132
15:27:34.103475 IP 203.0.113.100 > 198.51.100.100: ESP(spi=0x53ec235d,seq=0x1), length 132
15:27:35.131026 IP 198.51.100.100 > 203.0.113.100: ESP(spi=0xa61da06f,seq=0x2), length 132
15:27:35.131271 IP 203.0.113.100 > 198.51.100.100: ESP(spi=0x53ec235d,seq=0x2), length 132

ESPにカプセル化されてパケットが通過していることが確認できた。

※パケットがトンネルに入るか入らないかは、IP ルーティングではなく xfrm ポリシーによって決まっている。
ip xfrm policy コマンドで確認できる。

user@vpn1:~$ sudo ip xfrm policy
src 10.0.1.0/24 dst 10.0.2.0/24
        dir out priority 2344
        tmpl src 198.51.100.100 dst 203.0.113.100
                proto esp reqid 16389 mode tunnel
src 10.0.2.0/24 dst 10.0.1.0/24
        dir fwd priority 2344
        tmpl src 203.0.113.100 dst 198.51.100.100
                proto esp reqid 16389 mode tunnel
src 10.0.2.0/24 dst 10.0.1.0/24
        dir in priority 2344
        tmpl src 203.0.113.100 dst 198.51.100.100
                proto esp reqid 16389 mode tunnel
(snip)

Linux 同士の IPv6 IPsec 接続

個人的なことだが、自宅のフレッツ回線とプロバイダがIPv6ネイティブ方式 (IPoE) に対応したため、自宅内のノードに IPv6 グローバルアドレスを割り当てられるようになった。

これを利用して、自分で借りた「さくらの VPS」(こちらも IPv6 グローバルアドレスが付与される)と自宅内サーバの間に IPv6 IPsecトンネルを作成してみる。

前提環境:
・自宅サーバ: Raspbian 9.4 + strongswan
・VPS: CentOS 7.5 + strongswan
・認証方式: X.509 証明書

ネットワーク構成図

1. 証明書の作成

myserver1 上に CA のためのディレクトリと設定を準備する。
user@myserver1:~$ sudo mkdir /etc/ssl/CA
user@myserver1:~$ sudo mkdir /etc/ssl/newcerts
user@myserver1:~$ sudo sh -c "echo '01' > /etc/ssl/CA/serial"
user@myserver1:~$ sudo sh -c "echo '01' > /etc/ssl/CA/crlnumber"
user@myserver1:~$ sudo touch /etc/ssl/CA/index.txt
user@myserver1:~$ sudo vi /etc/ssl/openssl.cnf

/etc/ssl/openssl.cnfの抜粋:

dir		= /etc/ssl		# Where everything is kept
database	= $dir/CA/index.txt	# database index file.
certificate	= $dir/certs/ca1.crt 	# The CA certificate
serial		= $dir/CA/serial 		# The current serial number
crlnumber	= $dir/CA/crlnumber # the current crl number
                    # must be commented out to leave a V1 CRL
crl     = $dir/crl/crl.pem
private_key	= $dir/private/ca1.key

CA 鍵・証明書を作成する。
user@myserver1:~$ sudo openssl req -new -x509 -extensions v3_ca -keyout /etc/ssl/private/ca1.key -out /etc/ssl/certs/ca1.crt -days 3652
(snip)
Country Name (2 letter code) [AU]:JP
State or Province Name (full name) [Some-State]:Aichi
Locality Name (eg, city) []:Nagoya
Organization Name (eg, company) [Internet Widgits Pty Ltd]:Home
Organizational Unit Name (eg, section) []:CA
Common Name (e.g. server FQDN or YOUR name) []:ca1.home.example.com
Email Address []:

myserver1 の秘密鍵を作成する。
user@myserver1:~$ openssl genrsa -aes256 -out /etc/ssl/private/myserver1.key 2048
Enter pass phrase for myserver1.key:********
(後でパスワードを削除するので、パスワードはここでは適当に決める)
Verifying - Enter pass phrase for myserver1.key:********

秘密鍵ファイルのパスワードを削除しておく。
user@myserver1:~$ openssl rsa -in /etc/ssl/private/myserver1.key -out /etc/ssl/private/myserver1.key
Enter pass phrase for myserver1.key:********
writing RSA key

myserver1 の CSR を作成する。
user@myserver1:~$ openssl req -new -days 1826 -key /etc/ssl/private/myserver1.key -out /etc/ssl/cert/myserver1.csr
(snip)
Country Name (2 letter code) [AU]:JP
State or Province Name (full name) [Some-State]:Aichi
Locality Name (eg, city) []:Nagoya
Organization Name (eg, company) [Internet Widgits Pty Ltd]:Home
Organizational Unit Name (eg, section) []:Server
Common Name (e.g. server FQDN or YOUR name) []:myserver1.home.example.com
Email Address []:
Please enter the following 'extra' attributes
to be sent with your certificate request
A challenge password []:
An optional company name []:

CA 鍵を使って CSR に署名する。
user@myserver1:~$ sudo openssl ca -in /etc/ssl/cert/myserver1.csr -config /etc/ssl/openssl.cnf
Enter pass phrase for /etc/ssl/private/ca.key:********
(snip)
Sign the certificate? [y/n]:y
1 out of 1 certificate requests certified, commit? [y/n]y
(snip)
Data Base Updated

CA 証明書とホスト証明書・鍵を strongswan 用に配置する。
user@myserver1:~$ sudo cp /etc/ssl/certs/ca1.crt /etc/ipsec.d/cacerts/
user@myserver1:~$ sudo cp /etc/ssl/newcerts/01.pem /etc/ipsec.d/certs/myserver1.crt
user@myserver1:~$ sudo cp /etc/ssl/private/myserver1.key /etc/ipsec.d/private/

myvps1 用の証明書も同様に作成する。
user@myserver1:~$ openssl genrsa -aes256 -out /etc/ssl/private/myvps1.key 2048
user@myserver1:~$ openssl rsa -in /etc/ssl/private/myvps1.key -out /etc/ssl/private/myvps1.key
user@myserver1:~$ openssl req -new -days 1826 -key /etc/ssl/private/myvps1.key -out /etc/ssl/cert/myvps1.csr
user@myserver1:~$ sudo openssl ca -in /etc/ssl/cert/myvps1.csr -config /etc/ssl/openssl.cnf

いま作成した myvps1 用のホスト証明書・鍵、CA証明書を myvps1 側にコピーする。
user@myserver1:~$ cp /etc/ssl/certs/ca1.crt .
user@myserver1:~$ cp /etc/ssl/newcerts/02.pem ./myvps1.crt
user@myserver1:~$ sudo cp /etc/ssl/private/myvps1.key .
user@myserver1:~$ sudo chown user myvps1.key
user@myserver1:~$ scp ca1.crt myvps1.crt myvps1.key myvps1:

myvps1 上で証明書・鍵を配置する。
[user@myvps1 ~]$ sudo cp ca1.crt /etc/strongswan/ipsec.d/cacerts/
[user@myvps1 ~]$ sudo cp myvps1.crt /etc/strongswan/ipsec.d/certs/
[user@myvps1 ~]$ sudo cp myvps1.key /etc/strongswan/ipsec.d/private/

作業用ファイルを削除する。
[user@myvps1 ~]$ rm ca1.crt myvps1.crt myvps1.key
user@myserver1:~$ rm ca1.crt myvps1.crt myvps1.key

2. VPS 側の IPsec 設定

strongswan をインストールする。
[user@myvps1 ~]$ sudo yum install epel-release
[user@myvps1 ~]$ sudo yum install strongswan

カーネルモジュールをロードする。
strongswan公式ドキュメントを参照して、必要なモジュールがロードされていない場合は手動でロードする。
[user@myvps1 ~]$ sudo modprobe xfrm6_tunnel

設定ファイルを編集する。
[user@myvps1 ~]$ vi /etc/strongswan/ipsec.conf

conn myhome-to-vps6
        authby=rsasig
        auto=add
        closeaction=clear
        dpdaction=clear
        leftid="C=JP, ST=Aichi, O=Home, OU=Server, CN=myvps1.example.com"
        leftsubnet=2001:db8:abcd:efab:cdef:abcd:efab:cdef/128
        leftcert=myvps1.crt
        right=%any
        rightid="C=JP, ST=Aichi, O=Home, OU=Server, CN=myserver1.home.example.com"
        rightsubnet=2001:db8:1234:5678::/64
        ike=aes256-sha512-modp8192!
        esp=aes256-sha512

[user@myvps1 ~]$ sudo vi /etc/strongswan/ipsec.secrets

: RSA myvps1.key

strongswanサービス起動
[user@myvps1 ~]$ sudo systemctl enable strongswan
[user@myvps1 ~]$ sudo systemctl start strongswan

3. 自宅内サーバ側の設定

strongswanをインストールする。こちらは Raspbian なので apt コマンドで。
user@myserver1:~$ sudo apt install strongswan

必要なカーネルモジュールをロードする。
user@myserver1:~$ sudo modprobe xfrm6_tunnel
user@myserver1:~$ sudo modprobe esp6

設定ファイルを編集する。
user@myserver1:~$ sudo vi /etc/ipsec.conf

conn myhome-to-vps6
        authby=rsasig
        auto=start
        closeaction=restart
        dpdaction=restart
        leftid="C=JP, ST=Aichi, O=Home, OU=Server, CN=myserver1.home.example.com"
        leftsubnet=2001:db8:1234:5678::/64
        leftcert=myserver1.crt
        right=2001:db8:abcd:efab:cdef:abcd:efab:cdef
        rightid="C=JP, ST=Aichi, O=Home, OU=Server, CN=myvps1.example.com"
        rightsubnet=2001:db8:abcd:efab:cdef:abcd:efab:cdef/128
        ike=aes256-sha512-modp8192!
        esp=aes256-sha512

user@myserver1:~$ sudo vi /etc/ipsec.secrets

: RSA myserver1.key

strongswanサービスを起動する。
user@myserver1:~$ sudo systemctl enable strongswan
user@myserver1:~$ sudo systemctl start strongswan

Raspberry Pi で OpenVPN サーバを作成 (L2VPN編)

OpenVPN と tap インターフェイスを使って、自宅に接続できるレイヤー2 (ブリッジモード) VPNを作成する。Layer2モードだと、自宅外から VPN 接続したときに bonjour や Windows ネットワーク検索のようなサービスが、自宅内と同様に使えるのがメリット。

自宅内サーバ: Raspberry Pi 2 (Raspbian 9.x stretch)
環境は以下の図の通り。

この文書の手順以外に別途、インターネット接続ルータでサービスポートを外部公開 (スタティック NAT) しておく必要がある。

クライアント側の要件として、Apple iOS 系機器は tap デバイスに対応していないため、Layer2 VPN を利用できないので本稿のターゲットから外れる。Android 系も標準 API標準クライアントでは tap に対応していない(端末の root 権限があれば対応可能。また有料ソフトウェアの OpenVPN Client は tap に対応している)。Windows 用の OpenVPN GUI、Mac の Tunnelblick などは tap デバイスに対応している。

1. OpenVPN パッケージインストール

OpenVPN 本体と、ブリッジ設定に必要な bridge-utils をインストールする。

$ sudo apt install openvpn bridge-utils

2. Raspbian のネットワークインターフェイスを bridge 設定にする

サーバ側の eth0 デバイスを直接使わず、ブリッジデバイス br0 を使い eth0 をそのメンバーとするように設定する。OpenVPNサーバプログラムの使う tap0 デバイスも br0 のメンバーとして、ブリッジ接続できるようにする。

サーバの IP アドレスとしては、固定アドレスを設定する(自宅内のIPアドレスをルータのDHCPに任せているなら、DHCP配布範囲外のアドレスで固定する)。

マシン起動時に自動的にブリッジデバイスが有効になるよう、interfaces ファイルを編集する。

$ sudo vi /etc/network/interfaces

auto br0
iface br0 inet static
        address 192.168.100.20
        netmask 255.255.255.0
        network 192.168.100.0
        broadcast 192.168.100.255
        gateway 192.168.100.1
        dns-nameservers 192.168.100.1
        dns-search example.com
        bridge_ports eth0

もともと eth0 だったところを br0 にして、bridge_ports eth0 を追加するように編集する。

ここで一度再起動して、br0 に IP アドレスが付くことを確認する。
$ sudo shutdown -r now

起動したら IP アドレスの状況を確認する。br0 に IP アドレスが付いていれば OK。

$ ip a
1: lo: <loopback,up,lower_up> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN group defaul
t qlen 1000
    link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00
    inet 127.0.0.1/8 scope host lo
       valid_lft forever preferred_lft forever
2: eth0: <broadcast,multicast,up,lower_up> mtu 1500 qdisc pfifo_fast master br0
state UP group default qlen 1000
    link/ether 00:00:5e:00:53:11 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
3: br0: <broadcast,multicast,up,lower_up> mtu 1500 qdisc noqueue state UP group
default qlen 1000
    link/ether 00:00:5e:00:53:fe brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet 192.168.100.20/24 brd 192.168.100.255 scope global br0
       valid_lft forever preferred_lft forever</broadcast,multicast,up,lower_up></broadcast,multicast,up,lower_up></loopback,up,lower_up>

3. OpenVPN サーバ設定

OpenVPN サーバの設定ファイルを作成する。サンプル設定ファイルをコピーして、それをベースに編集する。

$ sudo mkdir -p /var/log/openvpn /etc/openvpn/ccd
$ sudo cp /usr/share/doc/openvpn/examples/sample-config-files/server.conf.gz /etc/openvpn/server/
$ sudo gzip -d /etc/openvpn/server/server.conf.gz
$ sudo mv /etc/openvpn/server/{server,udp7231}.conf
$ sudo vi /etc/openvpn/server/udp7231.conf

port 7231
proto udp
dev tap
ca ca.crt
cert server.crt
key server.key
dh dh2048.pem
server-bridge 192.168.100.0 255.255.255.0 192.168.100.192 192.168.100.223
push "dhcp-option DNS 192.168.100.1"
push "dhcp-option DOMAIN example.com"
client-to-client
keepalive 10 120
tls-auth ta.key 0
cipher AES-256-CBC
user nobody
group nogroup
persist-key
persist-tun
status /var/log/openvpn/openvpn-status.log
log-append  /var/log/openvpn/openvpn.log
verb 3
explicit-exit-notify 1
crl-verify crl.pem

dev tap 設定にするところがブリッジ方式の要になる。server-bridge 設定には、VPN クライアントに配布する IP アドレスの範囲を指定する。自宅内ルータの DHCP では、この範囲を配布対象外にしておくこと。

トランスポート層プロトコルは UDP を利用する(TCP over TCP 問題を避けるため)。利用するポートは念のため標準の 1194 から変えておくこととして、適当にランダムで決める。今回は 7231 とした。

4. サーバ証明書の準備

easy-rsa パッケージを利用して CA を作成し、サーバ証明書・鍵を作成する。CA 作業用ディレクトリとして、/etc/openvpn/easy-rsa を作成する。

$ sudo make-cadir /etc/openvpn/easy-rsa
$ sudo -i
# cd /etc/openvpn/easy-rsa
# ln -s openssl-1.0.0.cnf openssl.cnf
# vi vars

以下のような設定をvarファイルに記述する。

export KEY_SIZE=2048
export KEY_COUNTRY="JP"
export KEY_PROVINCE="Aichi"
export KEY_CITY="Nagoya"
export KEY_ORG="Home"
export KEY_EMAIL="root@raspberrypi.example.com"
export KEY_OU="Server"

CA を作成し、サーバ鍵・証明書を作成する。

# . vars
# ./clean-all
# ./build-ca
# ./build-key-server server

TLS Static Key と DH Keyを作成する。DH Keyの生成にはかなりの時間がかかる(Raspberry Piでは10分以上)

# openvpn --genkey --secret /etc/openvpn/server/ta.key
# ./build-dh
# cp -p keys/ca.crt keys/server.crt keys/server.key keys/dh2048.pem /etc/openvpn/server/
# exit

5. OpenVPN サービスの有効化と起動

サーバ側 OpenVPN サービス用の systemd ユニットファイルは /lib/systemd/system/openvpn-server@.service である。@の後に、サーバ設定ファイルのドットより前の名前(今回の場合は “udp7231″)を指定して有効化・起動する。

サービスを有効化し、起動する。
$ sudo systemctl enable openvpn-server@udp7231
Created symlink /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/openvpn-server@udp7231.service → /lib/systemd/system/openvpn-server@.service.
$ sudo systemctl start openvpn-server@udp7231

これだけだと、ブリッジデバイス br0 に tap0 デバイスが組み込まれず、VPN クライアントと LAN との相互通信ができない。/etc/systemd 以下に追加の systemd ユニットファイルを作成して、その中で tap0 を br0 に追加する処理を行う。

$ sudo vi /etc/systemd/system/openvpn-bridge.service

[Unit]
Description=OpenVPN bridge service
Requires=openvpn-server@udp7231.service
After=openvpn-server@udp7231.service

[Service]
Type=oneshot
RemainAfterExit=yes
ExecStart=/bin/sh -c '/sbin/brctl addbr br0 || /bin/true'
ExecStartPost=/bin/sh -c '/sbin/brctl addif br0 tap0 || /bin/true'
ExecStartPost=/sbin/ip link set tap0 up
ExecReload=/bin/true
ExecStop=/sbin/brctl delif br0 tap0

[Install]
WantedBy=multi-user.target

brctl addbr br0 の行は本来必要ないはず(br0 の立ち上げは /etc/network/interfaces に書いてあれば自動的に実行される)なのだが、タイミングの問題で openvpn サービス起動時にまだ br0 が無い場合があり、次の行の brctl addif br0 tap0 に失敗することがあるため、念のため加えている。

上記で作成した自作サービスを起動する。
$ sudo systemctl enable openvpn-bridge
Created symlink /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/openvpn-bridge.service → /etc/systemd/system/openvpn-bridge.service.
$ sudo systemctl start openvpn-bridge

6. iptables 設定

ローカルファイアウォール設定で、OpenVPN の利用するポートを開けておく。

iptables の設定に iptables-persistent パッケージを利用している場合は、/etc/iptables/rules.v4 を編集して以下の行を加える。

-A INPUT -p udp -m udp --dport 7231 -j ACCEPT

設定を再読み込みする。
$ sudo netfilter-persistent reload

もしiptables直接ではなくufwを使っているのであれば、以下のコマンドでサービスポートを開ける。
$ sudo ufw allow 7231/udp
$ sudo ufw reload

ブリッジ設定の場合、パケットフォワーディングの設定(sysctl -w net.ipv4.ip_forward=1)は不要。

7. クライアント側設定テンプレートの作成

設定を複数のクライアントに配布するため、元となるテンプレートファイルを作成する。

$ sudo cp /usr/share/doc/openvpn/examples/sample-config-files/client.conf /etc/openvpn/client/client.template
$ sudo vi /etc/openvpn/client/client.template

client
dev tap
proto udp
remote 203.0.113.10 7231
resolv-retry infinite
nobind
persist-key
persist-tun
remote-cert-tls server
key-direction 1
cipher AES-256-CBC
verb 3
<tls-auth>
ここに /etc/openvpn/server/ta.key ファイルの内容をペーストする。
</tls-auth>
<ca>
ここに /etc/openvpn/server/ca.crt ファイルの内容をペーストする。
</ca>
<key>
</key>
<cert>
</cert>

証明書・鍵ファイル等を別ファイルの形で配布しても良いが、設定ファイルの中に取り込む形にしてみる。設定を単一ファイルで配布できれば取り回しが良いため。

8. クライアント証明書の発行と設定ファイルの作成

テストクライアント用の設定を作成して、動作検証してみる。

まず、1番目のクライアント鍵・証明書 (client1と命名) を発行する。

$ sudo -i
# cd /etc/openvpn/easy-rsa
# . vars
# ./build-key client1
# exit

クライアント1のための設定ファイル (client1.ovpn) をテンプレートから作成する。

$ sudo cp /etc/openvpn/client/{client.template,client1.ovpn}
$ sudo vi /etc/openvpn/client/client1.ovpn

client1.ovpn ファイルの中の <cert>, <key> 各セクションの中に、作成したクライアント証明書 (client1.crt) と鍵 (client1.key) ファイルの内容をコピー&ペーストする。

作成した /etc/openvpn/client/client1.ovpn ファイルを配布して、クライアントデバイスにインストールして接続確認する。

接続成功するようなら、client2、client3、…と設定ファイルを同様に作成していく。

9. クライアント証明書の失効手続き

クライアントを使わなくなったら、証明書を失効させておく。client1を失効させるためには、以下のコマンドを実行する。

$ sudo -i
# cd /etc/openvpn/easy-rsa
# . vars
# ./revoke-all client1

openswan vs strongswan vs libreswan

IPsec の実装として、openswan / strongswan / libreswan どれを使えばいいの?というお話。

どの実装もかつてのFreeS/WAN IPsecの末裔であって、似たような設定で動作するのだけど微妙に書式が違う、というやっかいなことになっている。

openswan:
もうメンテされていない古い実装。Ubuntu 18.04 LTS も CentOS 7 もパッケージを用意していないので、あえて使う理由がない。Debian 9.x (stretch) には残っているが…
libreswan:
openswanのフォークで、現状メンテされている。RedHat/CentOS 系や Fedora、Ubuntu にも標準パッケージで用意されている。Debian 9.x (stretch) にはパッケージなし。
strongswan:
FreeS/WAN から分岐した別実装。Debian/Ubuntu 系 OS、また Fedora では標準パッケージで用意されている。RedHat/CentOS 系の場合は epel リポジトリに入っている。

ということで openswan は使わないものとして、ざっくり RedHat 系は libreswan、Debian 系は strongswan を使えば良いのではと考える。

※RedHat Enterprise Linux の場合は libreswan を推奨しているようなので、これを使うべきと思われる。
RedHat セキュリティーガイド 4.6. Libreswan を使用した仮想プライベートネットワーク (VPN) のセキュリティー保護

重要: Libreswan および Linux カーネルが実装する IKE/IPsec VPN は、Red Hat Enterprise Linux 7 で使用することが推奨される唯一の VPN テクノロジーです。その他の VPN テクノロジーを使用するリスクを理解せずに使用しないでください。

参考:
IPsec for Linux – strongSwan vs Openswan vs Libreswan vs other(?)

DNSSEC ルートゾーン KSK ロールオーバーについて

DNSSECのルートゾーンKSKロールオーバーについて、ロールオーバー前後でDNSの検索に支障が出ないよう、各所から通達が出ている。

ルートゾーンKSKロールオーバーによる影響とその確認方法について (JPRS)
KSKロールオーバーについて (JPNIC)

(2017/10月予定だった切り替えが延期され、現在は 2018/10/11 に予定されています)

1. 管理下の DNS キャッシュは DNSSEC 検証をしているか

DNS キャッシュサーバーを管理している場合は、一応気を付けたほうが良い。管理下の DNS キャッシュサーバーに対して、dig コマンドでDNSSEC 対応済みドメイン (例: jprs.jp) の情報を検索したときに、回答に ad フラグが付いていたら「キャッシュサーバーでDNSSEC署名検証が有効になっている」状態なので、更新後の鍵を設定してやる必要があるかもしれない。

adフラグが付いている例:

$ dig jprs.jp. @mydns.example.com

; <<>> DiG 9.10.3-P4-Ubuntu <<>> jprs.jp.
;; global options: +cmd
;; Got answer:
;; ->>HEADER<<- opcode: QUERY, status: NOERROR, id: 26772
;; flags: qr rd ra ad; QUERY: 1, ANSWER: 1, AUTHORITY: 4, ADDITIONAL: 9
...

(参考: DNSSECチュートリアル~実践編~)

2. RHEL 7 / CentOS 7 + BIND の場合

named.confにデフォルトで以下の設定が入っていて、DNSSEC署名検証が有効になっている。

options {
...
        dnssec-enable yes;
        dnssec-validation yes;

        /* Path to ISC DLV key */
        bindkeys-file "/etc/named.iscdlv.key";

        managed-keys-directory "/var/named/dynamic";
...
};
...
include "/etc/named.root.key";

対処法1. パッケージアップデート

/etc/named.iscdlv.key と /etc/named.root.key に、ルートゾーンの鍵が入っている。パッケージバージョンがbind-9.9.4-38.4以降であれば、上記2ファイルに新しい鍵が追加されるので、bindのパッケージをアップデートしてしまうのが一番手っ取り早く安心できる方法ではある。

対処法2. 自動更新に任せる

9.9.4-38.3以前のパッケージを使っている場合でも、RFC5011 の自動更新に対応している。named を起動すると更新後の鍵は /var/named/dynamic/managed-keys.bind{,.jnl} として自動保存される。このため、特に何かをする必要はない。

# とはいえ、CVE-2017-3142、CVE-2017-3143への対処が9.9.4-38.5以降で行われているので、パッケージを更新した方が良い。

3. RHEL 7 / CentOS 7 + Unbound の場合

デフォルトの /var/lib/unbound/root.key には古い鍵しか入っていないが、/etc/unbound/unbound.conf に以下の記述があり、自動更新が有効になっている。

server:
...
        auto-trust-anchor-file: "/var/lib/unbound/root.key"
...

unbound のデーモンを起動すると、/var/lib/unbound/root.key に新しい鍵が追加される。

このため、これらの設定を変更していなければ、特に対処の必要はない。

4. 確認、その他

EDNS0を無効化していないこと、経路上でTCP53が通ること、フラグメントパケットが通ることも確認しておく。

大きなサイズの DNS 応答に対応できているかどうかは、DNS-OARCが確認用のレコードを用意してくれているので、以下の dig コマンドで確認できる。

$ dig +bufsize=4096 +short rs.dns-oarc.net txt

非対応のキャッシュサーバだと、以下のような回答が返ってくる。

rst.x476.rs.dns-oarc.net.
rst.x485.x476.rs.dns-oarc.net.
rst.x490.x485.x476.rs.dns-oarc.net.
"203.0.113.1 DNS reply size limit is at least 490"
"203.0.113.1 lacks EDNS, defaults to 512"
"Tested at 2017-08-31 01:19:47 UTC"

さくらのVPS上のUbuntuでIPv6

IPv6有効化手順(CentOS7) | さくらのVPS | さくらインターネット公式サポートサイト

CentOS をそのまま使っているなら上記の通りなんだけど、Ubuntu に入れ換えている場合のメモ。

1. VPS ホームにログインして、自分のVPSに割り当てられた IPv6 グローバルアドレスを調べる。

2. Ubuntu にログインして /etc/network/interfaces を編集。

iface eth0 inet6 static
	address 2001:db8:ffff:ffff:203:0:113:15
	netmask 64
	gateway fe80::1

3. ifdown; ifup で行けると思うけど、念のため再起動。

iOS/Android 端末からの L2TP/IPsec 接続 (strongswan+xl2tpd)

iOSやAndroid端末、あるいは Windows PC などからもリモートアクセスできるよう、VPS マシンに VPN 接続を設定しておく。

PPTPについては既に脆弱性が発見されており、OSによってはサポート対象外になっているため、VPN プロトコルとしては L2TP/IPsec を使う。

前提:
対象サーバはVPSのCentOS 7。

IPsec 実装としては strongswan、L2TP 実装としては xl2tpd を利用する。

ネットワーク図は以下の通り。
05

1. インストール

[user@myvps1 ~]$ sudo apt-get install strongswan xl2tpd

カーネルパラメータをパケット転送できるよう設定する。
[user@myvps1 ~]$ sudo vi /etc/sysctl.conf

net.ipv4.ip_forward=1  #28行目のコメントを外す

[user@myvps1 ~]$ sudo sysctl -p /etc/sysctl.conf

ファイアウォール(ufw)を閉じている場合は、ESP、UDP 500・4500 を空けておくこと。

2. ipsec.confの設定

[user@myvps1 ~]$ sudo vi /etc/strongswan/ipsec.conf

以下の内容を追記する。

conn L2TP-PSK
        authby=secret
        auto=add
        closeaction=clear
        dpdaction=clear
        type=transport
        rekey=no
        left=203.0.113.180
        leftprotoport=17/1701
        right=%any
        rightprotoport=17/%any

IPsec はトランスポートモードを使用する。ペイロードに L2TP を通すので、ルーティングはそちらに任せる。

再接続等はクライアント側に任せたいため、こちらからは何もしない設定である。接続が切れた場合はセッションをクリアする。

3. IPsecの事前共有鍵の設定

[user@myvps1 ~]$ sudo vi /etc/strongswan/ipsec.secrets

事前共有鍵を平文で記述する。

: PSK "mypresharedkey"

4. xl2tpd.conf の設定

[user@myvps1 ~]$ sudo vi /etc/xl2tpd/xl2tpd.conf

以下の設定を追記する。

[global]
port = 1701

[lns default]
ip range = 172.16.1.11-172.16.1.30
local ip = 172.16.1.254
length bit = yes
require chap = yes
refuse pap = yes
require authentication = yes
name = myvps1.vpsnet.example.jp
ppp debug = no
pppoptfile = /etc/ppp/xl2tpd-options

接続クライアント側には、172.16.1.11 から 30 の間でアドレスが割り振られる。

5. xl2tpd-options の設定

[user@myvps1 ~]$ sudo vi /etc/ppp/xl2tpd-options

L2TPの設定を記述する。

ipcp-accept-local
ipcp-accept-remote
ms-dns 172.16.1.254  (myvps1:172.16.1.254にキャッシュDNSサーバが立っている前提)
noccp
auth
crtscts
idle 1800
mtu 1300
mru 1300
nodefaultroute
lock
connect-delay 5000
refuse-pap
refuse-chap
refuse-mschap
require-mschap-v2

6. chap-secrets の設定

[user@myvps1 ~]$ sudo vi /etc/ppp/chap-secrets

username	*	"l2tppassworddesu"	*

一般ユーザで読めない権限にしておく。

7. デーモンの起動

[user@myvps1 ~]$ sudo service strongswan restart
[user@myvps1 ~]$ sudo service xl2tpd restart

この状態で、iPhoneなどから接続してみる。
iPhoneであれば「設定」→「VPN」→「VPN構成を追加…」で「L2TP」を選択して設定を追加する。
「サーバ」欄にはVPSのホスト名(IPアドレス)、「アカウント」にはL2TPユーザ名、「パスワード」にはL2TPパスワード、「シークレット」にはIPsec事前共有鍵を設定する。

クライアント機器が公衆無線LANなどのプライベートネットワーク中に居る状態では、自動的に NAT-Traversal が利用される。ESP だけでなく、UDP 4500番ポートについてファイアウォールが空いている必要がある。